コロナによる店舗の閉鎖とオフィスの縮小移転をすることになり、賃貸人から見積が提出されたが店舗、オフィス共に坪20万円以上と高額だった。
再見積で賃貸人が原状回復費用を1,500万円増額!そんなことあり得ない!!
敷金では不足、原状回復費496万円がたりない。
この金額が果たして適正なのか?また、高額なのであれば減額したいことから、一般社団法人RCAA協会(原状回復・B工事アドバイザリー協会)に相談、協会運営母体の(株)スリーエー・コーポレーション山田 貴人氏をご紹介いただいた。
クライアント | 株式会社A |
賃貸人 | 株式会社東京交通会館 |
賃貸人指定業者 | B株式会社 |
敷金と原状回復工事・B工事の見積金額
敷金 | 2階 店舗:13,220,000円 11階 オフィス:22,740,000円 計35,960,000円 |
再見積(税込) | 2階 店舗:31,766,900円 11階 オフィス:9,036,500円 |
交渉の結果
不本意であるが、2階、11階原状回復費用25,300,000円で合意。敷金10,660,000円返還となった。
再見積金額の合計(2階、11階オフィス) | 40,803,400円 |
合意金額 | 25,300,000円 |
削減額 | 15,503,400円 |
削減率 | 38% |
株式会社A ご担当者様からいただいたコメント
未だ憤りも、モヤモヤも感じておりますが、弊社法務部門も弁護士先生の「契約書」がある限りリスクがあるとのお言葉と同様の見解がどうしても拭い去ることができない事もあり、誠に残念で悔しいところでございますが断念する事と致します。
山田様には大変勇気づけられ、萩原社長にご来社までいただき感謝しかございません、本当にありがとうございました。
今回2階店舗は賃貸借契約書には事務所仕様に戻す事が原状回復義務であったが、本フロアは全て店舗仕様のテナントが入っており、賃貸人側から提出された見積も、次テナントが店舗になる事を想定した内容だった。2階は、店舗、共有通路、全てショッピングモール仕様に全面改修されていた。
店舗フロアに1箇所だけ事務所が入る事は現実的ではないので、オフィス仕様に原状回復する31,766,900円の見積に対して「本当に事務所仕様に原状回復するのか?」という疑念と、スリーエー・コーポレーションが助言者で入ることを嫌い、このような圧力をかけてくる賃貸人の不誠実な態度は社会的に大きな問題だと考える。
このコロナ禍で賃貸人も経済的に傷んでいるので、これからも手段を選ばず今回のような道理に反した圧力をかけてくるケースが各地で起こっている。
我々は対策を練り、テナントと共に信頼関係を築き、不当な圧力に対し屈してはならないと痛感した。
専門家の意見
コロナ禍で、賃貸人、賃借人ともに財務が損傷しており、賃貸借契約の指定業者制度を悪用。独占的地位を利用し、高額な原状回復工事により敷金返還しない類似ケースが多発しております。
まず、「原状回復の範囲はどこまで?」、「適正費用はいくらなのか?」、「敷金はいくら返還されるのか?」を把握することは経営者の責務です。
本件のケースは、賃借人と助言者3ACが協力し、正当な権利を主張する基本姿勢で闘えば、適正費用16,500,000円まで削減可能と思います。賃借人も紛争リスク、敷金返還の遅れなど、経営判断の結果ですのでやむを得ないとは思いますが、勝てる協議ですので残念です。
理由としては、2階ショッピングモールは共用通路及びすべての店舗がオフィスの基準階によりショッピングモール店舗仕様にリニューアルされ、1店舗だけ事務所仕様に原状回復することは電気、空調、防災その他設備がネットワーク化され、現実的には事務所仕様にリニューアルは不可能と思われるからです。