コロナ感染症は店舗を直撃しました。生き残りを懸けて経費の見直しが必要です。
本件は、初めに借主の顧問弁護士に相談したものの建築設備の知識のない弁護士ではどうすることもできず、一般社団法人RCAA協会に見積内容の可視化(原状回復適正査定)の相談がありました。
賃貸借契約書の特約について、改正民法第621条を基準に工事区部を明確にすることで大幅削減することができました。
当初指定業者が一括で行うはずだった工事を「B工事」と「C工事」に分けることで賃借人も驚く削減を実現した実例の紹介です。
一般社団法人RCAA協会(以下、RCAA)会員株式会社スリーエー・コーポレーション(以下、3AC)の山田、小川、協会理事萩原が担当しました。
実績
当初金額 | 2,140万円 |
C工事分割後B工事 | 430万円 |
C工事分割後C工事 | 750万円 |
合意金額 | 1,180万円 |
削減額 | 960万円 |
削減率 | 44.8% |
原状回復適正金額 | 1,100万円〜1,320万円 |
(総額表示)
賃借人の概要
東京23区内複合商業施設に飲食店経営をしている
賃借人 | トムトム(店舗名) |
所在地 | 東京都墨田区江東橋4-27-14 |
建物名称 | 楽天地ビル |
賃借面積 | 1階 183.81㎡ 55.70坪 |
敷金(預託金・保証金) | 1,938万円 |
敷金返還額 | 1,508万円(敷金よりB工事費を差し引く) |
賃貸人の概要
賃貸人 | 株式会社東京楽天地 |
指定業者 | PS社 |
敷金では原状回復費では原状回復工事費が不足、弁護士に相談するも・・・
飲食店の店舗閉店のため、賃借人が解約通知を提出し、原状回復の見積もりが届きました。ところがその額を確認すると2,140万円、敷金1,980万円では収まりません。
賃借人にとってはあまりにも高額であり、当然預けてある敷金だけでは支払いきれません。原状回復工事について、どうやって話し合えばいいか分からない賃借人は、弁護士に依頼することにしました。
ところが、弁護士も原状回復の専門的な知識がなく賃借人の悩みは解消されません。賃借人は途方に暮れてしまいました。
賃借人の代理弁護士はWEBサイトを入念に検索調査し、原状回復コンサルに実績No.1のRCAA会員3ACの専門家に原状回復の調査と可視化を依頼しました。(原状回復工事費適正査定)
弁護士でもできなかった減額に成功!
3ACの担当者はアドバイザーとして協議に参加、当時の賃貸借契約書には「原状」が定義されていないという点を主張して、2,140万円という見積もりに含まれていた復旧工事を削除することを主張しました。(B工事部分の減額)
さらに、壁・天井・客席の床・一部設備の撤去は賃借人の推薦業者で行う(C工事とする)ことを認めさせました。C工事は業者間の競争原理が働くので、指定業者が行うよりも安価に工事をすることができます。
その結果、B工事部分は430万円、C工事部分は750万円となり、当初より960万円(44.8%)削減という原状回復費の適正化に成功したのです。
また3ACは原状回復工事の際、監理監修として賃貸人側とのやりとり・工事対応・工程調整を行い、工事をスムーズに進めました。
担当者様からのコメント
当初の工事内容、金額をそのまま鵜呑みにすると、必要以上のコストがかかってしまうことを痛感しました。
また、工事区分をB工事・C工事に分けることで、ここまで費用を抑えることができるのかと驚きでした。
不安だったのは、工事内容が多く、閉店後からの約1カ月という短い工事期間で明渡しに間に合うかどうかということでした。しかし、3ACに監理監修として入っていただくことで工事が円滑に進み、無事完了したので本当に助かりました。
( S社の担当者 SH 様)
本件担当リーダーよりコメント
いくら法律の専門家である弁護士でも、得意な分野とそうでない分野があります。
原状回復工事は、契約書という法的な分野だけでなく、不動産や工事についての知識も求められるため、専門のコンサルタントが存在するのです。
“餅は餅屋”という言葉の通り、原状回復についての悩みは原状回復の専門家に相談することがもっとも効率的といえるでしょう。解約届を出しましたら、まずは相談してみることをおすすめします。