オフィス・店舗FAQ 【 A工事・B工事・C工事 内装編 】
入居の際に賃貸契約で貸主、管理会社、指定業社(以下ビル側)から、「これはB工事ですから、○月○日までにB工事発注してください。その際に原状変更図書(入居図書)申請をお願いします。」 と言われました。
なんとなく理解できるようでわからないのですが・・・
解説いたしましょう。
ビル側は、すべてのテナントに安全安心を提供する責務を負っています。法的には、ビル管法(建物維持管理、BM)、建築基準法、借地借家法で定められています。
借地借家法における賃貸借契約書の重要事項で必ず確認していただきたいことは、下記の事項です。
- 借りたスペースの使用目的がオフィス、店舗、ショールーム兼オフィス、また特別な仕様のどれでしょうか?
- 期日の取決めがある定期建物賃貸借契約(更新不可・再契約で対応)でしょうか?それとも、普通賃貸借契約で更新のある契約でしょうか?
- 敷金、保証金(デポジット)は、家賃の○カ月分の預託金でしょうか?償却費など借主に不利な条文はないですか?
- 原状が確定されていますか?仕上げ表、図書、また文章で特約に明記されていますか?
- 工事区分が明確に記されていますか?費用負担とビル側指定を明確にしているでしょうか?
耐震構造、アスベスト、PCB(環境債務)、貸主の抵当権については、情報開示と説明責任が法令化されていますので、重要事項説明書を参考にして下さい。
A工事、B工事、C工事の工事区分表を作成することで「費用負担と工事は誰が行うか」が明確に記されます。
A工事・B工事・C工事区分表(日本語・英語)
A工事 | ビルオーナー (賃貸人) | 設計・施工・費用 |
B工事 | ビルオーナー (賃貸人) テナント (賃借人) | ビルオーナー(賃貸人)の建物をテナント(賃借人)の設計や計画により変更をビル指定業者ですること。 入居・退去の工事をビル指定業者で行うこと。 |
C工事 | テナント (賃借人) | 設計・施工・費用 |
A Construction | Building Owner | Design / Construction / Cost |
B Construction | Building Owner Tenant | To change the building of the building owner according to the design and plan of the tenant by the designated contractor of the building. Work to move in and out should be done by a designated contractor of the building. |
C Construction | Tenant | Design / Construction / Cost |
A工事 ー 内容と工事区分 ー
建物所有者、又は建物マスターリース会社(転貸借の転貸人)の費用負担でビル側業社が実施する工事と定義されています。
建物躯体や区画形成、サッシ回り、廊下、トイレ、給湯室、エレベーターホール、エントランスなどの共用部、ビルの資産価値の維持を前提としています。
インテリジェントビルにおいては、電気、空調換気、防災、セキュリティ、その他設備が充実しています。また、すべての既設設備を自動制御するハード、ソフトの原状もA工事と定義されます。
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覚えておきたい!オフィス移転で発生するB工事の概要
オフィス移転の際に高額になりやすいのがB工事の費用である。しかしB工事が何なのか、なぜB工事が高額になりやすいのかなどを知らなければ、対処法の検討もできないだろう。 今回はB工事とは何か、どうして問題 ...
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B工事 ー 内容と工事区分 ー
借主の費用負担でビル側が施工する工事と定義されています。 借主のデザイン設計により原状に変更が生じる工事(原状変更工事、入居工事)です。
借主のデザインにより電気、照明、空調換気、防災、セキュリティなどをビルの既設設備に移設、増設、除去する工事のことを指します。すべての設備を自動制御する中央管理室の工事のソフトデータの変更もB工事となります。
B工事解説動画
C工事 ー 内容と工事区分 ー
借主の費用負担で借主が選定した工事業社で施工する工事をC工事と定義されています。
専有スペースの内装工事、電源、LAN、そしてスペース内セキュリティ、ビジネスホーン、什器新設などがC工事となります。これはあくまでも工事に対する規約であり、デザインはすべて借主の要望の工事になりますから、C工事となります。
設計施工一式請負(デザイン&ビルド)になるのか、またはデザインとビルダーが分離発注なるのかにより、ビル側申請承諾、諸官庁申請など、業務範囲を明確にすることですべてを可視化、適正価格が可能になります。
最新の新築ビルにおいては、すべてB工事としてビル側指定業者で行うスーパーグレードビルが多くなっています。また、工事区分はビルによって違いますが、まれに築古のビルでは、すべて貸主承諾があればすべてC工事扱いのビルもあります。
上記①から⑤をよくチェックしてみて下さい。
資産区分と工事区分は違うの?
資産区分とは、借主・貸主の所有権を指します。
賃貸スペース内には、貸主・借主の所有物が錯綜します。 最近多いのは、照明設備を改造してLED仕様にするリニューアルキット工法です。これは、借主・貸主の所有物が繋がり、一つの製品になることです。また、空調換気設備も殺菌、空気清浄など環境対応型が新たに新設されるなど、保守の責任範囲、所有権を明確にすることでトラブルを未然に防くことができます。
貸主は、雛形の賃貸借契約書で契約締結します。善管注意義務[1]は借主にある場合、不利な立場になり、またグレードアップしたLEDのリニューアルキットを古い照明に戻すこと、空調換気を古い型に戻すことが原状回復になりますので注意してください。
[1] 善管注意義務・・・業務の委任を受けた人がその分野の専門家として一般に期待される注意義務のこと
B工事とC工事費、原状回復費の高騰問題は、「敷金が返ってこない」「資産除去債務の計上相違」がトラブルの原因
コロナ禍以前のオフィスは、経済合理性を追求した結果、統合、集約が多くなりました。Withコロナ、Afterコロナでは、リモートワークにより働き方が変わり、ライフワークスタイルが激変しています。
「オフィスもワークスタイルが変わり、行きたくなる、集いたくなる」
そのような「場」であるワークプレイスに移行しています。「集約」から「分散」に舵を切りました。その際の障壁は、移転先のB工事費高騰問題、移転元原状回復費高騰問題です。
結果、「敷金返還されない」
東日本大震災、オリンピック、ウクライナ戦争と円安でウッドショック、石油製品の値上がり、環境対応SDGs建築資材の標準化で工事費が倍増、オフィス移転の移転先B工事費、移転元原状回復費があまりにも高くて実行予算が組めない、意味をなさない、とのクライアントからの相談が多くなりました。
事業用不動産賃貸にはガイドラインはありません。ガイドラインに代わり、移転先B工事、移転元原状回復費には適正査定しかありません。
工事内容を可視化し、適正査定を実施して下さい。
RCAA協会は無料査定を行なっています。原状回復、B工事、敷金返還、資産除去債務まで、無料相談を承ります。
今ならオフィスの用途、使用により「事業再構築補助金」対象になる可能性が高いです。諸官庁、都道府県 すべて「事業再構築」「DXによる生産性向上」を全力でサポートしています。
商標登録しています
- 原状回復費適正査定(一般社団法人RCAA協会)
- 原状回復適正費用目論見書(RCAA協会会員 株式会社スリーエー・コーポレーション)