工事区分を基準に原状回復見積を作成することは賃貸人の責任である。
店舗やオフィスを退去する際には、原状回復義務があります。しかし、工事区分が現況図書と整合性がなく、原状回復の範囲や建築資材が変更になっている場合、原状回復が曖昧になりトラブルになることがあります。
例えば、賃貸借契約書に「壁面塗装、天井、床面の全面貼替」と書かれていた場合、損傷がない箇所まで新規更新する必要があるのでしようか?
今回紹介する事例は、まさにそこが争点となりました。
類似ケースはよくありますので、ぜひ参考にしてください。
概要
物件名 | 第2虎ノ門ビル3F(東京都港区赤坂) |
賃貸人 | N不動産株式会社 |
賃借人(クライアント) | H株式会社 担当:Y氏 |
PM管理会社 | Nファシリティーズ株式会社 |
BM指定業者 | Nファシリティーズ株式会社 |
面積 | 165.18㎡/49.9坪 |
敷金 | 1,323万円 |
敷金返還(原状回復費を敷金より差し引く) | 993万円 |
原状回復実績
初回見積(指定業者) | 515万円 |
再見積 | 458万円 |
合意金額 | 330万円 |
削減額 | 185万円 |
削減率 | 35.9% |
(総額表示※千円単位四捨五入)
高額見積もりに困った賃借人が専門家に相談
本物件は、賃貸人が(株)HコーポレーションからT建物(株)、N不動産にチェンジしていました。度重なるオーナーチェンジとPM担当者の変更で、賃貸契約締結時の詳細や証となる工事区分も不明でした。このようなケースが多いため、改正民法第621条で原状回復の定義範囲・工事内容の明文化は賃貸人の責任とされました。
ビル退去のため、賃借人が原状回復工事の見積を依頼したところ、PMを務める管理会社から高額な見積りがきました。賃借人は原状回復の知識がなく、賃貸人側とどのように話し合えばいいのか見当がつかなかったため、WEBで「原状回復査定」で検索し、一般社団法人RCAA協会会員の株式会社スリーエー・コーポレーション(以下、3AC)に査定と交渉のサポートを依頼することになりました。
専門家が契約書をチェックし問題点を抽出
3ACの専門家は賃貸借契約書を隅々までチェックし、その中で「原状回復工事の施工範囲は壁面塗装、天井、床面の貼替」という点に着目しました。なぜなら、オフィスの天井ボードは間仕切り部分以外に損傷がなかったからです。
判例によれば特別損耗による汚損、破損、または工事上発生した損傷は補修のみで足りるとされているため、見積もりにある天井全面張替えと、それに伴う電気、その他設備の脱着の費用負担は社会的合理性に欠けると判断したのです。
これを踏まえ、「天井の貼り替え工事は部分的な補修・塗装のみとすべき。また天井の貼り替えに伴う、照明設備や自動火災報知機設備の交換作業も不要である」という主張を通知書(リーガルレター)に記載し、賃貸人及びPM兼指定業者へ通知しました。
その結果、賃貸人側と工事費用330万円で合意することに成功しました。これは、初回見積515万円から185万円を削減したことになり、削減率は36%です。
(改正民法では契約書、原状回復特約により明確に明文化してある工事しか原状回復として認められません)
※類似のケースをご紹介します。テナントが負担しなくても良い工事が9割以上だった実例です。
お客様のコメント
3ACさんには、現地調査だけでなく、技術アドバイザーとして協議への参加、ビル側との面談、そして金額合意まで、短期間で様々なサポートと対応をしていただき大変感謝しております。ここまで減額でき驚いています。
原状回復についての知識がなく、どうやって金額交渉すればいいかも分からなかったので、専門家へ相談して大正解でした。賃貸借契約書に記載されている工事でも、オフィスの現況次第では不要になる工事もある、「こういうことも交渉材料になるのか」と大変勉強になりました。
今回、RCAA協会のコア会員である3ACに相談して、本当に良かったと思っています。今後またオフィス移転をする際にはぜひご連絡させてください。本当にありがとうございました。
(H株式会社の担当者 Y 様)
原状回復工事の見積もりを見て、賃貸契約書、特約、工事区分との整合性をチェックして下さい。でも、それはなかなか難しいことと思います。
しかし専門家であれば、賃貸借契約書に記載されていることとオフィスの状況をチェックし、工事内容・判例・相場など様々なノウハウを総合的に判断し、適正金額で発注、敷金返還まで確定してくれます。
見積が高いと思ったら、まずは原状回復のプロフェッショナルに原状回復適正査定を依頼してみてください。適正査定は無料です!
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