51坪のオフィス入居工事(原状変更)5,170万円 坪100万円を超える内装工事とは?
霞が関ビル群は日本一広大なワークプレイスエリアである。ここは官民を上げて開発された「高層ビルの夜明け」。人気TV番組「ザ・ガードマン」「37階の男」も、ここで働くビジネスパーソンの物語であった。東京倶楽部、三井不動産、鹿島建設の命運を賭けた一大プロジェクトである。まさにプロジェクトX、現在も品質管理は徹底し、常に改修工事を実施し選ばれたテナントに安全・安心・快適を提供し続けている。
原状回復・B工事の定義もこのビルインのテナントに対して確立され、賃貸借契約のモデルとされている。
オフィス移転の経緯とRCAA協会にPMRを依頼した理由
テナントであるラズライト・インベストメント株式会社(以下、LI)は、首都圏に40棟を超えるマンション、小中規模ビルを所有する不動産投資会社であり、自らも賃貸人、AM、PM、BM、指定業者の業務をおこなっている会社である。
今回のオフィス移転は、全てB工事という契約書による縛りと移転元の乃木坂ビルの原状回復も全て指定業者であったため工事費高騰問題を予測でき、移転費用総額に占める原状変更、原状回復は予算の8割を超えると思われた。
そこでB工事、原状回復の指定業者との協議で、適正化できるプロジェクトマネージャー(PMR)を選んだ。たまたま、LIの顧問でありメガバンクOB、元衆議院議員の柳田和巳氏の勧めもあり、協会理事の萩原に業務委託した。萩原とLI青野社長の話合いの結果、デザインは富士ビジネス株式会社(以下、FB)にお願いすることとした。
B工事協議のあらましと結果 B工事5,170万円→4,070万円 1,100万円の削減で適正価格に近づける!
賃貸物件 | 霞が関ビル33階3310区画 51.69坪 |
賃借人(クライアント) | LI |
賃貸人 | M不動産株式会社 |
PM、BM | MBM株式会社 |
指定業者 | MDT株式会社 |
初回見積り | 5,170万円 |
査定金額 | 3,520万円〜3,850万円 |
再見積り | 4,620万円 |
合意金額 | 4,070万円(VECD) |
削減額 | 1,100万円 |
削減率 | 21% |
※全て総額表示となります。
LIの青野社長は、20代半ばで独立し10年でここまで会社を発展させたやり手青年社長である。業界のことは知り尽くしていて、「原状回復・B工事」の指定業者制度、工事費高騰問題にも精通し疑問を持っている。
青野社長からのPMR受託条件は、トラブル回避、弁護士は委任しない、リーガルレターは当事者とRCAA協会の有資格者とRCAA協会との連名で通知することであった。念の為、M不動産のインベストメント部署に連絡し、RCAA協会にPMRを委託し指定業者の工事費を粘り強く市場価格に近づける協議を行うことを報告した。
財閥企業グループであるせいか、「工事費は高いですからドンドンやって下さい」との承諾は頂いたが、トラブルは避けてくださいとの事であった。
「紛争はグループ全体で共有されます。弁護士のリーガルレターは法務部、役員に情報共有されます。従って今後のお付き合いでマイナスになる事は避けて下さい。」という理由だった。
その条件だと、VECDを考慮しても4,000万円を切るのは厳しい、難易度の高い協議であった。
工事費高い原因、全ての建築資材はルートC 認証品?その上厳しい館内規則と施工条件
室内の建材は全て不燃材、パーテーションもガラスを主体とする不燃材であり認証品仕様であった。エントランスドアも鉄扉から自動のガラスの出入口に変更。ルート認証品を指定されると製造メーカーが限られるので建築資材は倍近い費用となる。
FBの協力のもと、指定業者MDTと再三再四協議、VECDにより床のフローリングとタイルカーペット、石張りを張り分け、床のパーティクルボード面積を縮小した。間仕切りもガラス、スチール併用として何とか品質を落とさず同等の価値で4,070万円の合意までこぎつけた。
スーパーグレードビルほど打合せに時間を要する。それは、全ての電気、空調換気、防災、通信、その他設備にメンテナンス業者がいて、元請一次、二次、三次の重層請負構造によるコスト高、指示は全て書面でのやり取りと、時間ばかりが過ぎてゆく。
何とか工期に間に合わせ、施主検査(クライアント、M不動産)、そして竣工となった。 これもFB、MDT、RCAAを信頼してくれたクライアントの協力の賜物である。
RCAA協会一級建築士・管理建築士 小川友幸のコメント
ルートC[1]認証品に何の意味があるでしょうか?
本棚はマホガニーの木製、本は紙、ファイル棚も外国の木製、中身は全て可燃物です。そのうえ室内は火器はなし、建築資材だけ不燃の認証品。建築指導課もビル側も「これが法律で規則だ」としか言いません。まさに官僚主義(ビューロクラシー)です。こんな硬直した規約は安全に対して何の意味もないです。日本もそろそろ米英のようなソフトローの国を目指すべきです。ヨーロッパ(EU)もハードローからソフトローに舵を切りました。建築基準法も借地借家法もビル管法も国際基準に準じる必要があります。
アメリカ西海岸、人口密度世界一の香港もソフトローで、工期は2割短縮できます。NY、ロンドン、LAは50階を超える高層ビルが密集しています。この事実を鑑みれば、お金と時間の無駄です。これで、世界で活躍するグローバル企業を、アジアのヘッドクウォーターを東京に構えてくれるのか?はなはだ疑問です。
[1] ルートC・・・避難安全検証既定の1つ。「ルートC」は、告示で定められた計算式を用いずに避難安全性能を証明する方法のこと。
クライアント LI青野社長よりコメント
東京の不動産はコロナ禍でも下がっていません。外資からの引き合いは増えています。
世界の投資家はドルが基準です。日本独自の慣例も法律も見直す時期にきています。
お陰様で日本独自のB工事指定の工事費高騰問題も査定額に近づける事ができました。1,100万円の削減額には驚きました。萩原理事、小川理事、本当にありがとうございました。今度は乃木坂ビルの原状回復適正査定協議ですね。今度は制約条件なしで強気にテナントの正当な権利を勝ちとって下さい!宜しくお願いします。
本件担当 萩原のコメント
超大型高層ビル(ルートB又はルートC)建築基準法129条に基づく避難安全検証法も、本来安全に人々が避難できることが目的の法律です。しかし、全て拡大解釈され、認証品だらけとなりコンプライアンスには誰もクレームをつけません。原状回復もB工事も拡大解釈され利権化されています。何の為の法律か?そろそろデジタル社会に向けて日本も改正ではなく創生することが必要です。
ワークプレイス共創の最大の障壁は「原状回復・B工事」です。原状回復・B工事適正査定は私たちの使命です。
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