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店舗B工事の事例

ショッピングモール店舗の原状回復 全てB工事という指定

原状回復は全てB工事 削減額836万円、削減率驚異の6割!

有田焼/伊万里の皿

相談の経緯

インバウンドは好調で、Tホテルには海外の富裕層が多数宿泊してくれます。しかし、中国武漢で発生したコロナは瞬く間に世界に伝播し、ホテルはガラガラ、地下のショッピングモールもガラガラとなりました。

Tホテルショッピングモールで陶器を販売する賃借人A社ですが、日本の文化に裏打ちされた高級陶器を観てくれる観光客もビジネスマンもいません。コロナ収束も見えず、とにかく赤字を止める苦渋の決断とし閉店を決意しました。しかし出てきた原状回復工事の見積りは、21.9坪 1,408万円という驚愕の金額でした。このままでは敷金では350万円の不足です。B工事という全面指定の原状回復は、なんと坪単価64.3万円でした。

悩んだ末にRCAA協会に相談にしたところ、協会会員3A Corporationの査定金額は、550万円~660万円と半分以下の金額でした。

「本当に半額にできるのでしょうか?」「トラブルになって明渡し遅延損害金が発生しないか?」

不安ばかりでした。

(店舗A社 責任者ヒアリングより)

概要

賃借人株式会社A(クライアント)
賃貸人株式会社B(Tホテル)
指定業者株式会社Bが兼務
ビル名Tホテル本館 ショッピングモールエリア
賃貸借面積69.72㎡ / 21.09坪
敷金10,577,690円

交渉の結果

初回見積14,080,000円
合意金額5,720,000円
削減額8,360,000円
削減率59.38%
査定額5,500,000~6,600,000円

(全て総額表示)

賃借人A社からいただいたコメント

RCAA協会会員3A Corporationの山田氏に相談させていただいて安心して交渉を進められた点や、御社作成の資料が効果を上げたことには深く感謝しております。

色々無理を申し上げましたが、弊社としても穏当に終えることに越したことはございません。これからも何かありましたら相談させて下さい。

担当者所見

山田

原状回復の対象範囲を明確化することにより、原状回復費用削減。

入居する際になかったと思われるホテル貸方基準、A工事、ファサード、区画形とB工事、電気、空調、防災、その他設備の貸方基準図書の存在が確認できず、すべて新設の原状回復費用が提示されました。賃借人が入居した当時の原状が明らかになっていないため、賃貸人に事実関係を示す資料、図書の開示を要求するも、A、B、C 図書貸方基準を立証することが不可能であるため、原状回復負担金合意という打開策で合意しました。

協議の結果 1,408万 → 572万円 削減額は 836万円

専門家解説(萩原 大巳)~A工事・B工事・C工事区分(資産区分)について

本件は、Tホテルショッピングモールという希少価値のある店舗の実例です。Tホテルは、建物維持管理、グレードアップを数回実施し、常にハイスペックのグレード維持に努めております。数回の大改修工事により現況と貸方図書の信ぴょう性が低くなり、また、管理をTホテルの自主管理に変更したため、不動産、建築、設備の経験が浅い人達が自主管理を実施する過程で起こった不明瞭な原状を協議した実例です。

A工事

竣工時、躯体、電気、諸設備の現状を指し、諸官庁に申請され許可を得ております。しかし、電気、その他設備を環境対応型にするなど、また、テナント様に選ばれる空間にするために、常に改修工事を実施する。この現状は、改修工事終了の状態を原状とし、貸方図書、工事区分を作成します。

B工事

電気、その他設備が区画された空間に、賃貸人が賃借人に安全・安心・快適を提供する為、また、借地借家法、建築基準法、ビルマネジメントに関する法律(ビル管法)、諸官庁申請許可事項などの法令順守のうえ設置されております。この諸設備は、賃貸人の所有権の為、当然、諸設備の増設、除去、新設、移設はB工事とされます。A工事、B工事は所有権に従い、賃貸人指定となります。

C工事

賃借人の所有権であり、賃借人が発注した業者で設計、施工を行い、工事を実施することとなります。当然明け渡す際は、C工事の建築設備を解体撤去し、A工事終了の状態に回復することが本件の原状回復となるわけです。

本件の問題点

  1. A工事区画、ファサードが存在したか?
  2. B工事電気、空調、防災、その他設備の原状はおろか、電気(照明)空調の所有権が賃貸人、賃借人どちらにあるのかも不明でした。そこで打開策として、リユースができる設備はリユースする、法律用語で電気、その他設備を全て賃借人より賃貸人に無償譲渡することで決着させました。
  3. C工事については賃借人の資産ですので、賃借人が選んだ業者が解体・撤去・廃棄を実施することが通常ですが、①②とリンクするため、賃貸人で原状回復を実施すると同じに③も実施する。しかし費用は賃借人業者と同等の費用で実施することで合意しました。

結果、

削減率 59.38%、原状回復削減額 8,360,000円、敷金(預託金)10,577,690円、敷金返還額 4,857,690円

という素晴らしい結果で合意することができた実例です。

「株式会社A社のコメント」に書かれている通り、A社主張の根拠(エビデンス)と査定(アセスメント)が協議の証です。裁判になった場合、敷金返還が遅くなりますし、東京地裁より専門部会にまわされ、原告・被告・裁判官側それぞれ建築、不動産の専門家がサポートに当たるため時間も費用も多額になります。裁判になれば、あと税込4,400,000円未満で判決、勝訴と思われる事件ですが、現実的にはベストな落としどころ(合意)と思います。

今後、A工事・B工事・C工事の可視化、査定(アセスメント)は、やはり専門家でなければ作成不可能です。宅地建物取引士、建築設備、建築基準法、建物維持管理(ビル管法)、原状回復義務まで理解し実績のある専門家チームに相談することをお勧めします。

削減率6割引き!なぜこれほどの削減ができたのか?

居抜きで入居してA社のデザインによりカスタマイズした内装工事であり、その時に所有権に基づき貸主B社、借主A社の建築物の資産を明確にして「原状」を確定する必要がありました。原状に復旧すること原状回復ですから、原状が分からなければ当然B社は全てをスケルトン戻しのうえ、全てを新しい内装設備にする原状回復見積となります。

そこで弁護士連名によるレターが威力を発揮します。一言でいえば原状回復義務を逸脱している貸主の行為となります。提案として、「原状が分からなければ原状回復はできませんので貸主で次のテナントに選ばれる工事をしてください。工事はやってもやらなくても構いません。借主A社は貸主の所有権の建築物を撤去し、特別損耗の費用とクリーニング費用はお支払いします。それが440万円ですよ。」としました。

専門用語で「原状回復費負担金合意」です。結果572万円で合意、テナントのA社の要望で裁判は避けるとの判断からの賢明な和解案となりました。

RCAA協会は、原状回復・B工事の適正査定を承ります。

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yamada

山田 貴人

(一社)RCAA協会会員 (株)スリーエーコーポレーション

・原状回復・B工事適正査定員

500坪以上のスーパーグレードビルから中小規模のオフィス、店舗、住宅等、多岐にわたり原状回復トラブルを解決。

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