定期建物賃貸借契約とは
定期建物賃貸借契約とは、金融資本主義の発達した米国型の賃貸借契約で、期間に定めがあります。原則は更新できず、賃貸人賃借人の両者の承諾により再契約を締結することとなります。 原則は、契約期間中の解約は不可であり退去の場合も期間満了までの家賃は発生します。借地借家法は第38条に規定する定期建物賃貸借契約といいます。
普通建物賃貸借契約とは
普通建物賃貸借契約とは、期間は定められており、更新ができる賃貸借契約のことです。更新時の条件、家賃の増減など賃貸借契約更新で折り合いがつかない場合でも、以前の条件で法定更新されます。賃貸人が家賃の増額を要求、賃借人が拒否、法定更新され、調停にて裁判官もしくは専門委員が間に入り協議します。調停前置主義といいます。
賃貸借契約の「契約終了の期日が定められていない賃貸借を普通建物賃貸借契約」と宅建士は呼んでおります。
定期建物賃貸借契約の場合、借地借家法第32条3賃貸料の増減額交渉の権利をブロックすることが可能です。「契約期間中は賃料の増減額は行わない」と文書に記すことにより、賃料、管理費の増減額交渉権は消滅します。
定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約を比較
定期建物賃貸借契約 | 項目 | 普通建物賃貸借契約 |
---|---|---|
借地借家法第38条 | 根拠条文 | 民法及び借地借家法第26条~第37条 |
建物 | 目的物 | 建物 |
居住用・事業用いづれも可 | 用途 | 居住用・事業用いづれも可 |
必ず書面による契約 ※公正証書である必要はなし ※契約締結前に書面による説明が必要 | 契約方式 | 書面、口頭による契約でも可 |
制限なし | 契約期間 | 1年以上 ※1年未満の契約期間を定めた場合、期間の定めない賃貸借契約となる |
期間満了で終了 | 更新の有無 | (原則)更新される |
(原則)認める ※賃料改定の特約がある場合、その特約に従う。但し、特約は、賃料額が客観的なものでなければならない | 賃料増減額請求権 | (原則)認める ※一定期間増減しない旨の特約がある場合、その特約に従う |
通常は定期建物賃貸借契約が多くなる傾向にあります。不動産の流動化、証券化、Jリートは全て定期建物賃貸借契約です。
不動産の流動化とは、土地の所有者より特定目的会社、SPC(Special Purpose Company)が土地の譲渡を受け、土地建物という資産が生み出す将来のキャッシュフローを元手に資産調達をおこなうことを指します。三菱グループ品川港南地区の大型ビルは、開発を不動産の流動化でまかないました。
証券化とは、賃料、土地建物の売却益を原資とし、社債、株式などの債権を発行し、投資家にリターンをもたらす投資のひとつの仕組みです。日本はJリートが代表的です。
もともとは、米国ケネディ&ウィルソンが流動化、証券化のパイオニアです。日本は、ザイマックス、サンフロンティア不動産など、新興デベロップが上記のモデルです。
ビル運営の方法として「運用型」「資産流動化型」の二つに分かれます。
「運用型」、「資産流動化型」も土地建物の所有リスクを回避できます。また、日本の土地建物20億以上の物件の売却の70%は、「不動産の流動化」「証券化」の為の所有権移転と統計が出ています。
ザイマックスの例ですと、新宿マインズタワーが上記に当たります。スーパーグレードビルですね。
※下記は、業務範囲と役割が明確に決められています。
- レンダー(信託銀行兼賃貸人)…国内の主要な金融機関が、不動産ファンドにローンを提供するレンダーの代表格
- AM(アセットマネジメント)…不動産に限らず株式・債権などの金融資産の管理・運用を投資家に代行する業務のこと
- PM(プロパティマネジメント)…対象不動産の資産価値を高めるための不動産の運営管理を行う業務のこと
- BM(ビルマネジメント)…個別のビルの管理運営における現場業務全般のこと