原状回復工事にも「A工事」「B工事」「C工事」という工事区分があります。原状回復適正査定で見積内容をミエルカし、根拠をもって交渉することで適正な金額まで減額することができます。
今回ご紹介する実例は、原状回復工事の工事区分を基準にB工事の一部を自社でできる工事「C工事」に変更することにより314万円削減した実例です。
(※改正民法第621条の原状回復の定義、範囲、工事内容の明文化を考察すれば、収去権拒否には正当事由が必要です。)
賃借人の概要
賃借人 | 株式会社J.C.O.S (電気通信・物流を取り扱う会社、以下JCOSという) |
テナント | 東京都港区 スタジアムプレイス青山 5・6階 426.77㎡/129坪 |
賃貸人の概要
賃貸人 | MS信託銀行 |
管理会社 | 株式会社MSB |
指定業者 | 株式会社MSB |
大手の金融機関で、BM(ビル管理運営)・指定業者は大手デベロッパーの関連会社が務める。
実績
(総額表示)
コンサルスタート金額 | 1,010万円 |
合意金額 | 696万円 |
削減額 | 314万円 |
削減率 | 31%(小数点第一位四捨五入) |
査定金額 | 680万円〜715万円 |
敷金(預託金) | 3,483万円 |
敷金返還 | 2,787万円(敷金より原状回復工事費を差引く) |
1,000万円の原状回復工事費に驚愕! 削減のポイントは収去権
JCOSは順調に事業を拡大させており、コロナ禍で三密回避、テレワーク対応によりワークスタイルが変わりハイブリッドオフィスをデザインすることにしました。
退去する旨を賃貸人に通知し、指定業者に原状回復の見積もりを依頼したところ1,010万円の原状回復見積が出てきました。これは高額すぎではないかと考えたJCOSは、知り合いに紹介された一般社団法人RCAA協会の会員であるスリーエー・コーポレーション(以下、3ACという)に相談しました。
JCOSは3AC担当者との面談時に、会話の端々から感じられるプロフェッショナルとしての意識の高さと、それを裏付ける数々の実績と資料を見て依頼することにしました。
早速3ACの担当者が査定してみると、やはり1,010万円は高すぎで680万円が適正な工事費用という物件でした。コストが高額になっていた一因が、間仕切りの解体・撤去作業と、弱電配線(電話やインターネットなどの配線)の撤去作業です。この作業を自社で収去できるC工事とすることで費用の削減ができます。
間仕切りと弱電配線撤去を指定業者の原状回復工事と分けることは、『収去権』という根拠があります。簡単に説明するならば「自社で持ち込んだ資産は自社で撤去できる」というものです。
エビデンスを背景にした適切な交渉が減額の要
エビデンスに基づいた提案により、間仕切り解体撤去・弱電配線撤去を分けて発注することを賃貸人に認めてもらうことができました。また、C工事(テナント工事)を3ACが監理・監修することもビル側に承認してもらいました。
諸々の適正化によって、最終的に合意できた額が約696万円です。当初よりも30%程度削減することができました。
ちなみに、JCOSの事例では移転先の工事完了が押してしまった関係で引っ越し日を協議するサポートもさせていただきました。
査定者のワンポイントアドバイス
A・B・C工事区分をチェックしないと大損します!!
工事区分の確認は、原状回復の削減において外せないチェック項目です。
基本的に、C工事は賃借人の裁量で行うことができるため、確実にコストを適正化できます。
査定員 堀田 猛
株式会社J.C.O.S 松本健会長より温かい気配り
敷金が返還されNewワークプレイスも出来上がり、一息ついたころJCOS松本会長自ら弊社に来社いただき、「ありがとう」のお言葉をいただきました。