同じ店で同じ商品を同じ時に買えば、当然金額も同じである。しかし、原状回復やB工事ではこうした常識が通用しないことが多々ある。もちろん、きちんとエビデンスに基づいて非合理を指摘することができれば双方が納得する価格とすることが可能だ。
今回紹介する事例は、まさにそうした“非合理的価格”を請求されたケースだ。
賃借人の概要
物件名称 | 錦糸町プライムタワー 東京都江東区 |
賃借人(クライアント) | 株式会社LIXIL住宅研究所 |
賃借面積 | 259㎡/108.6坪 |
明渡日 | 2020年3月31日 |
賃貸人の概要
賃貸人は大手投資法人で、委託されている管理会社が指定業者も兼ねている
賃貸人 | 信託系 |
指定業社 | 管理会社 |
見積価格に違和感! 専門家に査定してもらったところ・・・
初回見積金額 | 13,100,000円 |
合意金額 | 9,000,000円 |
削減額 | 4,100,000円 |
減額率 | 31.3% |
(税別)
賃借人が退去にあたって原状回復工事の見積もりを賃貸人側へ依頼。すると、1310万円という高額な内容になっていた。
建築会社である賃借人が見積もりの項目を詳細に確認してみたところ、間仕切り撤去・クロス貼り・塗装・タイルカーペットなどの単価が高額算定されていると感じた。そのほか電気・空調・防災設備に必要な人件費も割高なようであった。
同物件の原状回復の査定を当協会会員である株式会社スリーエー・コーポレーション(3AC)に依頼すると、たしかに、同グレードのビル、同じ管理会社、同じB工事業者のケースと比較しても高額に設定されていることが確認された。
そこで3ACのサポートとともに指定業者(ビル管理会社)を追求。金額が不当に高額になっていたことを認めさせ、見積金額の見直しを約束させた。
この結果、原状回復工事の費用は900万円となり、30%以上の減額が実現したのである。
本事例の場合、賃借人は建設会社なのでこうした違和感にすぐ気づくことができた。しかし一般の会社では「高い」と思いつつ何もしないケースも少なくない。
「仲のいい会社はもっと安く原状回復をやっていたような・・・」
「前回の原状回復と比べると明らかに高い」
といった“違和感”があったら、すぐに相談すべきだろう。比較対象がない場合でも、多くのケースで高額設定は横行している。オフィス移転で原状回復、B工事が発生した場合は、まず一度経験豊富な専門家に相談するといいだろう。